大友良英3デイズ

新宿ピットイン。3日間のうち2日目と3日目(19日と20日)を見てきました。2日目は前半が大友とパフォーマー2人の偶発的ノイズ・パフォーマンスみたいなの、後半が大友・芳垣・水谷のノイズ・ブルース・プログレ?って感じ。3日目の前半が大友・SachikoM・ジム・オルークの超弱音セッション(トリオっていうよりはフィラメント+ジムって感じ)、後半がその3人にカヒミが加わって、路線は同じながら朗読やギター入りでだいぶカラフル、ってな印象。つまり2日目がノイズで3日目が弱音で、ほとんど正反対でありました。

この3日間は、今年の夏以降に大友がやる「ENSEMBLES」というイヴェントの予告編的なものだそうで、そのイヴェントの宣言文によると「空間とか場の空気とかを見つめ直す」みたいなことのようなんですね。もうちょっとかみ砕くと、「客と演奏者のなれ合い的な関係を崩す」ともいえると思うんですけど。確かにパフォーマンスなんかは80年代の「天国注射の昼」みたいなアングラ臭が濃厚に漂っていたし、ステージにも客を入れて演奏者を取り囲む形にするとか、あと前述の宣言文のチラシを大友本人が客全員に手渡しで配っていたりとか、そういう普段ではありえないことをいろいろやってましたね。そこから脱日常的であり奇妙な場というのを生み出したかった、ということのようですね。

個人的に大友という人は、今一番興味のある音がリアルタイムでダイレクトに出る人だと思っていて、しかもそれがよく変化したりするので、今なにをやっているかというのがいつも気になる人なんですよね。かつてはそれがONJOだったわけですが、ONJOをやらなくなってもうずいぶんたつので、この1年くらい、その今の音というのがちょっと見えづらくなっていたと思うんですね。それがこの3デイズでなんとなくわかったような気がします。特定の音というよりは、現場の空気感と空間というところを求めていく、みたいなことだと思うんですが、だからアプローチがひとつにならないのは当然なんでしょう。言い換えれば、彼の集大成というか洗い直しみたいなことといえるのかも。

おれはONJOが、編成もやってることも好きなので、ONJOの続きの方が聴きたいというのはあるんですが、こっちも興味深くはあります。あの客を突き放すような感覚って、昨今だとあまりないものだと思うし。それに大友という人は、ほんとに現場重視というか、その場でしか得られないものを差し出す人なんだというのを、改めて思ったりしましたね。