サヨコオトナラとか

26日、新宿ロフト。かつて80年代にはゼルダで「スローターハウス」とか歌ってデカダン臭やサブカル臭を振りまいていたサヨコが、今じゃワン・ラヴとか平和とかばっかり歌うようになっていたり、あるいは同じく80年代に水玉消防団で女レックといえるくらいにヒリヒリしたムードを放っていたカムラが、今じゃ中国歌謡とかのほのぼの歌ものをやるようになっていたり。そういう、ずいぶん長い時間が経ったんだなあというか遠いところまで来たというか、なんか感慨深い日でしたねえ。おれは当時ゼルダも水玉もすごく好きだったけど、両者とも80年代後半から急激に興味が薄れて、その後あんまり聴いていなかったから、なおさらビックリした感がありました。

でもこの人たちってたぶん、80年代にやっていたことの方がむしろ特別というか、自分の尖った部分だけ突出していたようなもので、今やってることが自分の根っことかに正直なところなんじゃないですかね。年を取っていろんな枷が取れてどんどん素直になってきているような、そういう気がしますね。だから変化していったのも自然なことだったんじゃないかと思います。実際のところはよく知らないけど。でも両者ともすごく吹っ切れた清々しさみたいなのがあって、それは長年の逡巡があったからこそなのではないか、と思えたんですよね。

特にサヨコオトナラは、アコースティック・トリオ編成でレゲエをやる、っていうのがなかなかに新鮮で良かったです(ゲストでベースが入っていたけど、アレはいらないでしょう)。ちょっと晩年のどんとみたいな、ほんわかしてるけど歌には力強さがあるっていうような、心地いいツボを突いてくる感じでね。久々に見たOTOもすごく元気で、相変わらずシャープなプレイでシビレましたねえ。まあそんなんで、なんだかいろいろ考えさせられるライヴでありました。