クラフトワークのリマスター

初めはバラで買うつもりだったんですが、ボックスの方が輸入盤の英語版だとかなり安いことがわかり、それも一番安いと思われるところ(1万2000円くらい)で「在庫あり」になった時にすかさずポチッとしてしまったという、非常にセコい買い方で購入しました。

いやしかしこれ、ちょっとすごいんじゃないですか。まずデザインが箱、紙ジャケ、そのインナー、それにLP大サイズのブックレットまで、ものの見事に統一していて、いやもう圧巻。特にブックレットなんか、最近よくあるオリジナルの忠実な再現とかじゃなくて、オリジナルを元に新しく編集し直してて、余計な解説とかデータとかも入れず、あのアートワークがひたすらストイックに次々と展開されるというのは、迫力というか凄味すら感じますね。

音の方も、音のひとつひとつを取り出して丹念に磨き上げて元に戻す、という作業をすべての曲で行ったかのようで、どの音からも意志が伝わってくるという感じ。すべてに於いてクラフトワークの息吹が込められていて、隙とか妥協とかっていうものがまったくない。なんか「誰にも俺たちの世界を邪魔されてたまるか」とか「これを出さなきゃ死ねない」とかって言ってるような、ある種の執念が宿っているように思えますね。となるとやっぱ、聴く時も襟を正して聴くみたいになっちゃって、それもまた妙に心地よかったりして。まだ半分くらいしか聴いてないんですが。

にしてもほんと、ここまで隅々まで完璧に作ったリマスターものって、なかなかないんじゃないですか。そういうところではビートルズ以上だと思うし、今年のリイシューのベストだと思いますね。