三村京子

渋谷7th Floorでレコ発。ライヴは初めて。この人の曲は、昭和っぽいノスタルジックなメロディーのブルース+つげ義春的シュールな世界観+アヴァン寄りの即興、ってな感じだと思うんですが。ライヴだと即興重視の演奏も本人のヴォーカルも全体から醸し出す雰囲気も、概してハードで硬派でストイックって感じで、甘さとかを極力排除してるような、ちょっと特異な手触り。彼女の声にどこか見透かしたような、達観したような感じがあって、それがそういうストイックな印象を強めているのかも。

最大の個性は声だと思うんですが、曲によっていろんな発声があって、時折強烈な倍音が出たりとか、低音部になると憂いや色気がこぼれ落ちてきたりとか、ハッとするような瞬間がいくつもありました。瞬間ごとの空気を掴むセンスに長けているというか、ひらめき感がすごくあるっていうか。

ブルースとか昭和的歌謡曲とかジャズとか即興とか、いろんな要素がありつつ、どれにもどっぷり浸かっているわけでもない風で、それがいいですね。それであのストイック感というのは、個人的にかなりしっくりくる感じがします。アンコールでやった弾き語りがまた良くて、ディランの日本語カヴァーとかもう絶品。この日はほとんどがバンド編成だったけど、弾き語りでもっと自由に好き勝手にやるようなライヴも見たくなった。すごく希有で新鮮な歌い手だと思いますね。