デヴィッド・バーン

28日渋谷AX。いや大変素晴らしいライヴでした。ほんとこんなにいいとは思いませんでした。事前に情報とかまったく知らないで行ったので、最新作の指向からして打ち込み主体のライヴなのかな、とかおぼろげに思っていたんですが、始まってビックリ。パーカッションにコーラス3人を含む8人編成って、ほとんどトーキング・ヘッズと同じじゃないすか。しかもそこにダンサー3人が加わってなおビックリですよ。

バンドのグルーヴやアンサンブルがしっかりしているのはもちろんなんですが、ダンサーがすっごくいい。キレ抜群の動きとか、メンバー及びバーンとの呼吸もピッタリで、でもキメ過ぎずユーモラスな感じを残しているというのもバーンっぽくっていいと思ったし。アッパーな曲だけじゃなくて、クール・ダウンの曲でもちゃんと振り付けが入っていたりして、だから全体を通して一定の緊張感を保っていて、見ている方も全然ダレないんですね。

そういうんで「ボーン・アンダー・パンチズ」とか「ワンス・イン・ライフタイム」とかをやるってんだからたまらんですよ。つっても別にヘッズの曲を集中してやるんじゃなくて、最新作と『マイ・ライフ〜』とヘッズ時代とを交互にやるような感じの構成で、そこが良かったですね。懐古的になるわけじゃないし、最新作の穏やかな感じに偏るわけでもないっていう。それで「ボーン・アンダー・パンチズ」なんかはずいぶんとミニマルで平坦なアレンジになってて、今っぽかったりして、そのへんの姿勢もいいなあって思いましたね。

バーン本人の声の張りとか、シャープなギターのカッティングとか、キビキビしたアクションとかも申し分なかったです。総じて、バーン×イーノの集大成というものを、音楽的にもエンターテインメント的にもレベルの高いところまで引き上げて見せたというような、すごく完成度の高いライヴだったと思いますね。今年のベスト・ライヴ…ってのは早計だけど、これを超えるライヴはなかなかないんじゃないでしょうか。