sim+やくしまるえつこ

渋谷LUSH。やくしまるえつこのヴォーカルは、こないだのスターパインズカフェではちと素で歌いすぎとか思ったんですが、この日はしっかり声を作っていて、いや素晴らしかったです。朗読、カヴァー曲、新曲(?)、それに相対性理論の曲、といろいろやってたんですが、どれも申し分ない発声で、ほとんど完璧でしょう。特にカヴァー曲(なんかスタンダードなヤツ)でのバッキバキなウィスパー・ヴォイスは、もうシビレまくりというか悶絶死しました。この人があそこまでウィスパーな発声をするのは初めて聴きましたよ。

あと朗読+即興演奏も、単純にスリルとかの方へ行くんじゃなくて、弱音の音響系っぽい音像の中で彼女の声がゆらゆらするの図、みたいなことになってて、それがまた新鮮でしたねえ。総じてsimの大島さんは、この声をできる限りいろんなアプローチでいろんな見せ方をしてみる、ということをやりたかったんじゃないですかね。そういうのがすごくおもしろくて、音源として出すべきと思えるくらいのライヴでしたねえ。それと極めつけはラスト「テレ東」での、やくしまるえつこ大谷能生のデュエットですよ。いやビックリしたというか、すごい図でありました。

にしてもやくえつ、出てきただけで場の空気をガラリと変えてしまうような、圧倒的な存在感がありますね。おれにとっては、たとえばすっごい昔のレックとかがそうだったんですが、今ややくえつなんですよね。それも、エネルギーを発するとかっていうんじゃなくて、前にも書いたことだけど、自分の存在感を消そうとすればするほど、「そこにいる」ということがムクムクと膨大になってしまう、というような特異な存在感といいますか。そういうアーティストって自分の中ではちょっといなくて、とにかくこの人はいろんな意味で新鮮すぎますね。