鬼火

新宿ロフトで、工藤冬里を中心とした吉祥寺マイナー周辺人脈勢揃い、みたいな感じのオールナイト・ライヴ。工藤とか久下恵生とか中尾勘二とかが、バンドとかソロとかでいろいろ出てきて、すべて即興演奏。あんまり見たことない工藤のピアノが美しかったとか、久下のビートでも歌ものでもないジャズ・モードっぽいドラムスがかっちょよかったとか、見どころいろいろだったんですが、やっぱキモは全体に漂うむせかえるようなアングラ臭ですねえ。べっとりとした夜の匂いとでもいいますか、この時代のこの人たちにしか出せないものなんでしょうね。

それと極めつけはラストのマヘル・シャラル・ハシュ・バズで、工藤とベーシストがその場で作ったリフにあわせて、10人くらいのメンバーがひとつのフレーズをひたすら繰り返していく、それだけで延々40〜50分。最近のマヘルの「曲優先」なスタンスとは間逆の完全即興で、これぞ正真正銘マヘルって感じでもうシビレました。工藤本人も痙攣したみたいなアクションとか、後半には引きつった声での朗読風もあったりとかで絶好調。このいびつにねじれた気味悪さみたいな感じこそマヘルの真髄でしょう。彼らのこういうライヴは久々に見た気がしますねえ。