アジアン・ミーティング・フェスティバル

23日、アサヒアートスクエア。こないだの「休符だらけ」が展示メインだったとすると、今回のは演奏メインという感じで、どっちも基本コンセプトは同じということみたいですね。会場内全体めいっぱいに20数人の演奏者が配置されてて(演奏者と観客の区分けというものがない)、観客は立ったり座ったりして美術作品を見ていくように見る感じで、自由というか好き勝手なフンイキが心地よかったですね。演奏者と観客の関係を壊しているみたいな感じというか。

そういう中で数人ずつセッションしていくんですが、『幽閉者』みたいな点描的即興なんだけど演奏者同士が互いに意識し合ってるもの、という感じでしょうか。だから必然的にというかバトルっぽい攻撃的な方に行くことが多くて、挑発的な空気が終始漂ってて、それがスリリングで大変おもしろかったです。特に最後の全員セッションは、ラジカルな音の集積がブワーッと膨らんでいくような感じといいますか、一大ノイズ・サイケデリック絵巻みたいなすごい音像になってましたねえ。いやなんだったんでしょうかアレは。ちょっと体験したことのない種類のドキドキ感がありましたねえ。

こういうのを見ると、大友がONJOを休止にしたのもわかるような気がします。一定のメンバーで一定の方向性でやるというのより、メンバーも方向性も可変していくものの方がおもしろいってことなんじゃないですかね。なおかつ再現不可能な現場感みたいなのを重視していくとこういうところに行き着く、というように思えますね。彼自身もターンテーブルとギターの両方を駆使していろんなことやってたし、なんか喜々としているようにも見えたし。

メンバーの中で一番おもしろかったのは山本達久で、例のジャラジャラ撒き散らしとか断片的に衝撃音みたいなの出したりとか急に突っ走ったりとか、どんどんいろんな手を繰り出してきて、アヴァンなセンス炸裂って感じでしたねえ。すごくイキイキしてて、こういう即興は大好きなんでしょうね。ドラムスという楽器を、ぶち壊すものとして捉えている感じがするっていうか。前述の最後のセッションがラジカルな感じになったのも、この人の焦燥的なドラミングがあったからという気がします。最近じゃ千住よりこの人の方が好きかも。

その山本達久のハードコアなドラミングとやくしまるえつこの弱音ヴォイスが絡み合うの図、というのもなかなかおもしろかったです。ただやくしまるえつこは明らかにとまどってる風で、入るタイミングを計りかねている感じがアリアリで、いつものオーラとか存在感とかも希薄でしたねえ。ミネラルウォーターはいつも通り両手でゆっくり飲んでいましたが。