山本精一SOLO

スーパーデラックスでの「スイミンshow」、山本さんが寝ながら演奏して観客も寝ながら聴くっていうライヴで(VJの人も寝てましたな)、会場内がまるでフェリーの二等客室のような総ゴロ寝状態という、なんというか痛快な風景でありました。

そういう中、ゲッチング+シュトックハウゼンってなカンジのアンビエント風ギター・ソロが延々と続いていくわけなんですが、スピーカーが天井に設置してあって、寝ながら聴いていると音を全身で浴びるような感じになって、これがえらく気持ちいいんですね。考えてみたらそんな体験は初めてなわけで、天井や壁に映し出される映像とも相まって、実に新鮮な快感があったんですよね。

そういうアイデア自体見事だと思ったんですが、それ以上に観客の方も毛布とか寝袋を皆しっかり用意しているとか、約2時間の演奏中はほとんどの人が眠っていたとか(演奏終了時の拍手がパラパラだったし)、すんなり受け入れていたのが素晴らしいと思いましたね。これはもういかに気持ちよくなるかが大事で、だから眠ってしまうのが最も正しい聴き方なわけで、だとすれば観客はそこをすごくよく理解していたんじゃないですかね。おれも枕代わりに寝袋を持参して、2度ほどウトウト眠ってしまいました。

総じて、演奏を「見る」「聴く」のではなく「体験する」という意味合いの強いライヴだったと思うんですが、そういうところで大友良英の「ENSEMBLES」に通じる部分が多々あって、それを実に山本さんらしいやり方でやったライヴ、といえるんじゃないですか。やっぱりこの2人は向いている方向が共通しているように思えますね。「わざわざ集まって、ただ寝るだけ」なんて、しごく終末っぽい、今っぽい、ともいえると思うし。あと最近の山本さんはカオス・ジョッキーとか想い出波止場とか不穏なライヴが続いていたので、個人的にはこの日のライヴで、ひとつスカッとしたような気分になりましたね。