空間現代

渋谷ネスト。空間現代の前に飴屋法水の芝居(みたいなの)があって、4〜5人の役者がバラバラな台詞を同時にしゃべるとか、よくわかんない絵を掲げたりするっていうもので、そこからブレイクなしで空間現代の演奏に移行していったんですが、その流れが実にスムーズだったんですね。空間現代の音楽にはつげ義春とか倉地久美夫っぽい、異空間に逸脱していくようなシュールな不気味さがあって、この芝居も同じようなシュールでねじれたムードを醸し出していたから、両者がすごくうまく合致していたと思うんですよね。

だからライヴの演奏だけでも申し分のない内容だったけど、その芝居があったから、全体を見終わった後のカタルシスが段違いに深いものになったと思いますね。ライヴだけだったらもっと平面的な印象だったのが、あの芝居があったから俄然立体的な感じになった、というか。言い換えれば空間現代の世界観を、飴屋法水が全然違う手法で広げてみせた、ともいえるんでしょう。

やっぱりこれは新鮮でしたよね。芝居そのものは特にいいとは思わなかったけど、異なる分野のパフォーマンスによって、全体でひとつの世界が膨らんでいくみたいな感覚というのは、かなり新鮮な快感がありましたよ。ヘッズはこないだの蓮沼執太とかサンガツのDVDとか、音楽と芝居(舞踏)のコラボというのをずっとやってるけど、ここまで見事につながったものは初めて見ましたねえ。斬新で実験的なことをどんどんやってるみたいな感じはすごくするし、もっと見てみたいとも思いますね。

空間現代はノー・ニューヨークっぽい解体を、00年代通過後の今の視点と手法でやってるもの、として捉えているんですが、たとえば随所にある分断とかエディット的な部分とかを、あえて人力でやってたりするのがおもしろい。あと隙間や抜きの美学とか。ライヴだとそういうところが見えやすくなってて、テク以上に3人の呼吸感は素晴らしいものがありますね。最もロック的な編成で、完全生音で、どこまでロックから離れられるか、みたいな気概を感じたりもするし。ストイックな面持ちも含め、好きなバンドですね。