山本精一レコ発

スターパインズカフェ。いや今回は気合入ってたと思いますねえ。山本さんのソロはいい加減というかグチャグチャにやることが多くて、そのスカム感みたいなのが良かったりするわけですが、今回はずいぶんとちゃんとやってましたね。かなり丁寧に歌ってて彼のまろやかな声質の良さが出ていたと思うし、ギター・ソロなんかも冴えまくってたし、千住の繊細なドラミングとのアンサンブルもバッチリで、めちゃくちゃ集中力があったと思います。山本さんがこんなに集中して演奏していたのを見るのは久々かも。

その集中力が観客の方にも伝わってきて、歌の風情は寡黙であり木訥としてるのに、一定の緊張感がずっと持続しているような、ちょっと特異な雰囲気のライヴでしたねえ。ただそれは本編の最新作の話で、旧曲やカヴァーのアンコールだとその緊張感がちょっとほどけた感じだったんですが。でもこっちも「夢の半周」を千住のドラム入りで、ちょっとジャーマン・サイケっぽい感じでやってたり、同じモードの「空の名前」とか、絶品の名演続きって感じでシビレまくり。それと本編ラストの「ふたつの木のうた」はやっぱりどうしようもなく美しいです。

おれは山本さんの歌ものソロはスカムな方が好きだったりするんですが、やっぱりこうもビシッとした演奏だと唸ってしまうというか、重い手ごたえのライヴでした。あと何曲かやった新曲が、ずいぶんサイケデリック・ロック色が濃くて、本人も言ってたように今はロック指向なんですかね。