豊田道倫映像集3

池袋シネマ・ロサで『豊田道倫映像集3』。今回のはライヴ映像集とかっていうより、すごくはっきりしたストーリーがあるリアルなドキュメンタリー映画って感じ。本人の心情を端的に表した歌詞とか、インタヴューでの発言とか、結婚式の映像とか、すべてが同一線上で流れていっている。いささかドラマチックに過ぎる感もあったけど、どの映像も言葉も嘘はないわけだし、説得力もめちゃくちゃある。進んでいくうちにだんだん本人の心情が暴かれるというか剥がされるような感覚になっていって、それはやっぱAV監督だからでしょうか。セックスとは人生そのものなり、とでもいいますか。

インタヴューで彼が言っていた「家庭をもつ人の歌はどんどんピュアになって、家庭を持たない人の歌はどんどん濁っていく」っていう言葉がすごく印象的で、いつか彼がブログで書いていた「山本精一に離婚したことを伝えたら“オルタナティヴな人は家庭は持てない”って言われた」ってことと通じるような。そこの一線がアーティストの行き先を決定づける岐路で、彼は本能というか持って生まれたなにかでそっちを選んだってことなんでしょう。どっちがいいとか正解とかってことじゃないけど、離婚後の彼の歌に深みが増したのは確かなことだと思いますね。あと最後の方の、息子にペットボトルの水を飲ませてあげるシーンは、やっぱり無性にグッときました。