core of bells
スーパーデラックスでcore of bells「怪物さんと退屈くんの12ヶ月」。このシリーズ3回目にしてようやく見ることができた。不条理とそれとは相反する日常的反復が同時に進んで、どんどん歪んでいって、終始終末感みたいなものが色濃く漂ってる、という感じ。何度もつげ義春を思い出した。吉田さんの演技がめちゃくちゃ上手くてビビった。
彼らがこれまでやっていた「演劇っぽいもの」とは根底から違って、構成とか展開がしっかりしてて、ちょっと本気度みたいなのを感じたかも。でも不条理的なテーマは以前から一貫していてつながっていて、ムニュッとした後味の悪さみたいなもの。だから漫画『冷馬記』に通じる感じがすごくある。
やっぱcore of bellsって、CD作品とか音楽ライヴとかの決まった形だけじゃなくて、こういう収まりづらい形でないと表せない部分があるんだろうし、今回はそれがようやくできたってことなのかも。もしかしたらこれが一番やりたいことなのかも。だからこれからは、それが強まっていくような。イヤほんと恐ろしいバンドっていうか。
映画『AA』
アップリンクで間章映画『AA』、ようやく見ることができた。間章の写真や映像がまったく登場せず、本人不在のまま周囲の人たちの発言の集積によって、本人のイメージが形成されるという手法は、ちょっと『桐島、部活やめるってよ』を思い出したりした。
その発言が間章とはなんだったのか的な方へ行かず、結論めいたものもなく、むしろ間とは直接関係ない話も多くて、ひと言でいえば「間章を発端とする批評及びフリー・ジャズの議論」的な趣。クライマックスは灰野敬二、大友良英、近藤等則のそれぞれのインプロ論がスパークするところで、だから制作時の現在進行形の視点による間章への返答、といえるのかも。
とにかく終始「発言する」ことと「考える」ことを、7時間以上かけてこれでもかと提示してくる感じで、制作者も発言者もずっと考えている、それで観客も考える、着地点などなし、そういう映画だと思う。そうなったのはインタヴューの大里俊晴の力量がデカくて、影の主役だと思った。
13時過ぎに始まって終わったのが22時過ぎ、こんな長い映画を見たのもアップリンクにあんなに長くいたのもたぶん初めてだけど、企画者の須川善行+吉田アミの「ユルい感じでやりたいんですー」って言葉がなんか良くて、その通りユルい気分で心地よく過ごせた感じ。高田馬場ACTミニシアター的というか。フォカッチャもうまかった。間章クロニクル買って帰った。