Phew×高橋悠治

渋谷WWW。両者の間になれ合いとか寄り添うとかって空気がまったくなく、観客に対してもMC皆無で雰囲気を和らげるとかせず、最後まで緊張が途切れないライヴだった。Phewの聴き手を突き放し挑発するようなヴォーカルがとにかく素晴らしく、特にマイクを替えて歪ませた声とか低音での朗読とかだとむせかえるような妖気を放っていて、全編ひたすら圧巻。去年のレコ発よりも全然良かったし、てかこんなにラジカルな彼女を見たのは90年代以来かもしれない。ライヴ盤とかで残すべき名演といえるんじゃないですか。今のところ今年のベスト・ライヴかも。

あとフロント・アクトのSachiko M、ソロでは初めて見た。彼女のサイン・ウェイヴはフィラメントにしろ大友良英関係にしろ「線」のイメージがあったのだけど、この日はそうではなく「面」といえる音像だった。サイン・ウェイヴもここまでくるともうハーシュ・ノイズに近いというか、オノレを突き詰めた極北みたいな感じというか。完全に彼女だけの世界でしょう。ただ、それが延々50分近くっていうのはちょっとキツかったけど。