Blank Museum

原美術館の庭と展示室をフルに使って、音楽ライヴとパフォーマンスを交互にやるというイヴェント。この美術館自体日常から遮断されたような空間だし、パフォーマンスも日常の裂け目を逸脱していくようなものばかりだったし、総じてシュールで夢の中みたいな不思議な時間でありました。去年の大友良英の「アンサンブルズ」に近い手触りがあったけど、あれをもっとフェスっぽくした感じというか。今まであまり体験したことのない種類のイヴェントだったことは間違いないです。

建物の屋上で演奏した伊東篤宏+山川冬樹とか、壁全体をスクリーンにした勝井祐二とかをはじめ、会場の特性を生かした実験性の高いライヴが多くて、それもまた非日常性を増していたように思いますね。

山本精一JOJO広重はあまりノイジーな方へは行かず瞑想っぽい感じだったんですが、後半の穂高亜希子が加わったトリオが絶品。最後の曲でやおら広重がマイクなしで血管ぶち切れるくらいの絶叫コーラスを入れてて、さらには超エモーショナルな轟音ギター・ソロが追い打ちをかけて、これはちょっとマジに泣けましたねえ。やっぱこの人の、スイッチが入った時の説得力というのは、すさまじいものがありますね。穂高のアシッドな歌声とかセンチメンタルなメロディーも素晴らしかったけど、この日の主役は広重でしょう。