mmm
7th Floorでレコ発。6人のバンド編成だったけど、楽器が歌をどう生かすかとかって考え方じゃなくて、各楽器の即興性の強いプレイと歌とが同等に鳴ってる、みたいな成り立ち。ポップス的というよりジャズ的というか。それで結果的には歌が一番際立ってる、っていうのがおもしろかった。だから弾き語りに音を足すっていうんじゃなくて、まったく別モノというか。よくある、弾き語りの人がバンドでやるとかえって窮屈になったりフツーっぽくなったりする、っていうのがまったくなくて、やっぱジャズ的な自由さをもった人なんだと思った。
そういうのが可能なのも声の強さがあるからで、やっぱあの憂いやけだるさを含んだふくよかな歌声っていうのは、今の女性シンガーの中でも無二なんじゃないですかね。どうしても色気がこぼれてしまう、みたいな感じもグッとくるし。前作のレコ発より格段に良かった気がする。
のっぽのグーニー
7th Floor。熱血青春風とか叙情風とかラップとか、あるいはエクスペリメンタルなのとか、やってることすべての着地点が微妙にズレてて、そのツボを外してくる感じがたまらなく快感だった。そういうズレ具合というかハズシ方がすごく今っぽいと思った。
あのニターリとした濃ゆい笑顔とかオールバックの髪型とか、よくわかんない派手なアクションとか、そういうの全部でKY的な“イヤ〜なキャラ”を演じているような。そこからくる絶妙な後味の悪さにゾクゾクする感じ。だから田中淳一郎という人は、キャラ設定をして芸としてこれをやってるのか、大マジメな表現なのか、引き出しのひとつに過ぎないのか、どうも今ひとつ判別がつかないところがおもしろい。見るたびに謎が深まる、というところでは倉地久美夫や山本精一に通じるのかも。このへんの「異才系」のテン年代型といえるのかも。
それとバンドも、あのアルバムを生演奏でやる、というところで、最良の人選と最良のアプローチだったんじゃないですか。キモはやっぱ山本達久。こういう方向性でハマるドラマーはこの人しかいないでしょう。
あと木下美紗都、ピアノ弾き語りで倍音ヴォイスがより強調されてて、MCほとんどなしツンデレ感5割増しって感じで激萌え。スッゲー良かった。
豊田道倫&ザーメンズ
渋谷ネスト。豊田道倫はソロを挟んでやったぶんソロとザーメンズの対比がより明瞭になった感じで、バンドは以前より粗暴というかノイジーな音になったような。三輪二郎のギター・ソロがかっちょよくてツボ突きまくり。
最初のどついたるねんは、方向性のよくわかんない着地点なしな感じとか、曲ごとに楽器が変わるとか、全員服装バラバラとか、意味不明混沌パワーって感じで激しくウケた。なにより客席にダイヴ(というかダッシュ)する時のイキっぷりの良さと、下着女の容赦ない壊れっぷりが素晴らしかった。
あと前野健太、ずいぶん久々に見たけどスッゲー良かった。バンドの演奏も歌もなんかスッコーンって突き抜け感があって、ちょっとゾクッときた。旬の人特有の目に見えない力が働いてる感じっていうか。特にラストのギターと二胡のバトルが圧巻だった。