穂高亜希子

渋谷アップリンクファクトリー。去年の原美術館以来1年ぶり、ソロのライヴは初めて見た。この人は混じりっけのない歌声とか、すごくいろんなものを示唆している歌詞とかが魅力だと思うけど、結局のところスパッと割り切れない感じというか、物事を断定しない感じというのがいいんじゃないですかね。ライヴそのものが、着地点とか正解とかに向かっているんじゃなくて、ずっと揺らいでいる感じがあって、時にはあやうくなったりもして、そういうの全部が磁力を生んでいる、みたいな感じというか。答えがない感じっていうか。

歌も演奏もすごくよかったけど、一番はそういうところかも。ライヴというものは、うまくやるとか予定通りにやるとかよりも、いかに多くのカタルシスを与えられるか、とするなら、この日は最上級のカタルシスがあった。それに、この場にいることができてよかったとこんなに思えるライヴも、そうはないという気がする。

にしても「いつか」は、今年リリースされた曲の中でも屈指といえるかもしれないです。“いつか僕の中にあるものを空にかえす日がくるだろう”なんて言葉、ちょっとすごいんじゃないですか。帰りにアルバム買って、とうめいロボ手作りお菓子をもらったけど、あまりにもったいなくて未だに食べられない…。